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れいむはおちびちゃんのために”狩り”をしているところだった。 「ちょうちょさんゆっくりしていってね!」 「むしさんゆっくりしていってね!」 ぴょこたんぴょこたんと跳ねながら、辺りの昆虫や、時には空を飛んでいる鳥を追いかける。 ほとんど散歩のようなものだが、それでも成果がまったく得られないということはない。 運よく入手した虫や食べられる草などを口に入れてゆく。 「ゆふぅ…きょうもゆっくりがんばったよ!おうちかえる!」 れいむはおうちへ向かう。 れいむと、れいむのおちびちゃんが住んでいるおうちはとってもゆっくりした素敵なおうち。 「おちびちゃんゆっくりまっててね!」 ―― 「ゆぴぇっ!!??」 れいむは最初、転んでしまったのだと思った。 しかし、体勢をととのえて辺りを見回すと、少し様子がおかしかった。 「ゆ、ゆぅ……?」 あたりは、れいむがさっきまで家路を急いでいた草原ではない。 硬くひんやりとしたリノリウム張りの床の上、白い壁がどこまでも続く屋内にれいむはいた。 れいむは、ゆっくり特有の切り替えの早さでおうち宣言をする。 「とってもゆっくりしたおうちさんだね!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「なんだ、またゆっくりか」 「ゆっ?」 れいむが振り返ると、一人の人間がれいむを見下ろしていた。 「レポート明日までだってのに、また失敗だよ…」 「ゆゆ?なんのことかわからないよ!ゆっくりせつめいしてね!」 人間は言った。 「学校の実験を明日までに成功させないと俺の単位が危ない。 その実験とは、”500年以上過去の世界から何かを持ってくる。ただしゆっくりを除く” つまりお前さんは、俺の実験のせいで過去から呼び出されたんだが、こっちとしては必要なかったってわけだ。 もう勝手にどっかいっていいよ」 「ゆゆっそれじゃここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「それ駄目。ここは俺の家。っていうか俺の親の家」 「どうしてそんなこというの!れいむおこるよ!」 「業突く張りなところは、まさしく過去れいむか…しかしこいつじゃ時間系実験の有効サンプルとは 認められないからな…ちくしょう、どこにでも現れる不思議生物め…」 「おにーさんゆっくりしてないよ!ゆっくりしていってね!」 「あーもううるせーよー、そんな時間ねーんだよ」 人間はれいむを掴みあげる。 「やめてね!おりぼんとれちゃうよ!ゆっくりはなしてね!」 「安心しろ。そう簡単に取れねーよ……そうだ、これをつけてやるのを忘れてた」 人間はれいむの髪飾りに、赤い花をかたどった小さなピンを付けた。 「ゆわーい!にんげんさんありがt……」 「そんじゃな」 人間は窓を開け放つと、れいむをポイと投げ捨てた。 このようにして、れいむは未来へとやってきたのだった。 30日 十京院 典明 幸い、れいむの大事な髪飾りは無事だった。 「ゆっくりしていってね!!」 とりあえず、人間の家の外で挨拶をする。答えるものはいなかったが、それで少し気がまぎれた。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 ひとしきり叫んだあと、れいむは辺りを見回す。 人間の家の庭は広くて綺麗だった。おいしそうな草が沢山生えているし、樹木もある。 それらはれいむには”ゆっくりした”としか認識、形容できないものだが、家人の手できちんと整備されたものだった。 「ここをれいむのおうちにするよ!」 と、二度目のおうち宣言をしたところで、おちびちゃんのことを思い出す。 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃん、いっしょにゆっくりしようね!」 いるはずもないのに辺りを探し、声を上げておちびちゃんを捜し求める。 「ゆぅぅぅぅ!!どうしておちびちゃんいないのぉぉぉぉぉ!!??」 お腹が空いたので、ご飯を食べることにした。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 おちびちゃんはいないけれど、それでもご飯は幸せだ。敷き詰められた芝生はとても良い味がした。 「おちびちゃんゆっくりまっててね」 れいむはおちびちゃんを探し出すべく跳ね出した。 * * * * れいむは一生懸命に跳ね、声を上げたが、捜索はもちろん徒労に終わった。 「れいむのだいじなおちびちゃんゆっくりでてきてね!」 公園の真ん中で大声で叫ぶれいむに、一人の人間の女性が歩み寄る。 「れいむちゃん、ゆっくりしていってね」 「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」 女性は腰をかがめてれいむと目を合わせる。 「おちびちゃんがいなくなっちゃったの?一緒に探してあげようか?」 「おねーさんゆっくりありがとう!」 しかし、やはり見つからない。 いないものが見つかるわけなどないのだ。 「ゆ゛う゛う゛う゛!ゆ゛う゛う゛う゛!」 女性はすさまじい泣き方をするれいむを抱き上げる。 「落ち着いて。 ……このあたりはだいたい探し終えたから、次は街中へ行ってみましょう?」 一人と一体は、れいむが”呼び出された”郊外の住宅地から市街地へと入った。 「ゆゆっ!!」 市街地はれいむにとって驚きの連続だった。 道を行き交う人と車、それにゆっくり。 「ゆっくりしていってね!」 れいむが言うと、 「ゆっくりしていってね!」 と答えてくれるゆっくり達は、みな幸せそうな顔をしている。 人間に飼われているゆっくりもいた。 「ゆっくりしていってね!」 「ああ、『ゆっくりしていってね』」 飼いゆっくりと人間は笑い合って、歩いていく。 れいむはそれを、拍子抜けしたような、遠いものを見るような目で見ていた。 れいむのもといた世界では、人間とゆっくりはいがみあっていることが少なくなかった。 また、人間にいじめられてゆっくりできなくなるゆっくりも多かった。 れいむは跳ね止まり、前を行く女性を見た。 「ん?どうしたの?」 「ゆ、ゆゆっ、なんでもないよ!ゆっくりおちびちゃんさがすよ!」 * * * * 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせーー!!」 「美味しい?れいむちゃん」 「とってもゆっくりしてるよ!こんなしあわせーなのはじめてだよ!」 ついに日が暮れて、一人と一体は捜索を断念した。 女性に連れられてれいむは初めて”ふぁみれす”に入った。 きれいなくささん――”しーざーさらだ”はとってもゆっくりしていた。 食後にはオレンジジュースも飲んだ。 「ごーく、ごーく…しあわせー!」 「ふふっ」 「おねーさんなにのんでるの?」 「これはメロンソーダよ。れいむちゃんにはちょっと飲めないかもね」 「そんなことないよ!こんなにゆっくりきれいだよ!」 「それじゃああげるわね。気をつけて飲んでね」 「ゆゆ!しゅーわしゅーわするよ!」 「大丈夫……?」 「しゅーわ、しゅーわ……ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!!!」 「ああもう、だから言ったのに」 女性はれいむの頭頂部を抱えて撫でる。 「ゆぅぅぅぅ!ゆぅぅぅぅ!」 その時、女性があることに気づいた。 「あら」 れいむの髪飾りに付いている、赤い花のピン―― それは、”未認可”の証だった。 「れいむちゃん、テストは受けてないの?」 「てすと?てすとってなに?」 「何って……ああそうか、過去ゆっくりなのね。 えーっとね、れいむちゃんは、テストを受けないと駄目なのよ」 「てすとはゆっくりできる?」 「うーん……ゆっくりできたりできなかったりする……というか、テストをしないとずっとゆっくりできなくなる」 「ゆゆ!ずっとゆっくりできないのはいやだよ!ゆっくりてすとするよ!」 「そう。それじゃ明日から、授業受けに行きましょうね。テストのための。 そうだ、今どういうのか教えてあげるからね」 女性は携帯端末を操作すると、端末から小さなメモリースティックを抜き出し、れいむの額に当てた。 「ゆゆ!」 れいむの心に、見たことのないはずの光景が浮かび上がっては消えていく。 それはネット上からダウンロードした、ゆっくり生育認可テストの情景だ。 ゆっくり達は、人間世界の規律を学んだり、我慢することを覚えたりしている。 「ゆゆ!こんなにむずかしいのむりだよ!」 「ふふっ……大丈夫よ。みんなできたんだから」 「それなられいむ、ゆっくりがんばるよ……」 「そう、偉いわね」 。……ところで、れいむちゃんは何歳?」 「なんさい?」 「うーん、えっとねぇ……れいむちゃんは、生まれてから何回寝て起きた?」 「ゆゆ!れいむは、にじゅうきゅうかいすーやすーやして、にじゅうきゅうかいゆっくりおきたよ!」 「あ……そ、そうなんだ」 * * * * ゆっくりの生育に関する条例 ゆっくりは生後30日以内に、いずれかの市町村役場で生育認可を得なければならない。 もし認可のない場合、その活動の期限を30日限りとする。 * * * * 町に野にゆっくりは溢れている。 それは必要な措置だった。 決して難題でもない。たとえば、普通の人間が簡単な資格や免許を取得する程度の労力しかかからない。 だが、れいむがテストを受け、それに合格するのは不可能に近かった。 人間だって、一日で自動車免許を取れはしない。 だが、今日の終わりまでにそれをクリアーしなくては、れいむに生きるすべはない。 女性はそれをれいむに伝えた。 「ぷくぅぅぅぅ!!どうしてそんないじわるいうの!きょうまでなんてむりだよ!」 「そう、そうよね……だけど、そういうことだから」 女性は席を立った。 「おねーさんどこいくの!ゆっくりまってね!」 「うーん、かわいいれいむちゃんだったけど……やっぱり過去ゆっくりは駄目ねえ」 れいむが女性を追って”ふぁみれす”から出たとき、すでに女性の姿は、夜の街の雑踏の中に消えていた。 「おねーさん!れいむはおねーさんといっしょにいたいよ!いっしょにつれてってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「てすとをうけないと、ずっとゆっくりできなくなる」? ――れいむは、あしたもふぁみれすでしーざーさらださんむーしゃむーしゃしたいよ。 ――れいむは、おちびちゃんにあいたいよ。 ――ずっとゆっくりしたいよ。 ――ゆっくりできなくなるなんていやだよ。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは泣きながら叫んだ。 道行く人も、ゆっくりも笑いかけてくれる。だけど、れいむの境遇を理解してくれる者はいなかった。 「ゆっ!ゆぐっ!でいぶ、でいぶはっ、おちびちゃっ、おねーざん、ゆっぐりでぎなぐなりだぐないよ!」 「ゆゆ?」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐ、ゆっぐりじでいっでね……ゆっぐりじでいっでね……!」 ――おねーさんがいじわるをいわなければ。れいむをつれてってくれれば。 ――じかんさんがもっとゆっくりしてくれれば。 ――ちがう。 ――どうしてこんなことになったの? ――れいむはなにもわるくないよ? 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐりじでいっでね!ゆっぐりじでいっでね!」 やがて人の流れが途絶え、時計の針が一日の終わりを告げる。 「ゆ゛う゛……おねーざん……おぢびぢゃん……」 髪飾りに付けられた赤い花のピンが三度瞬いた。 れいむは泣きながら、ゆっくりとした眠りに就いた―― END このSSに感想をつける
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「ふたば系ゆっくりいじめ 267 さいこ/コメントログ」 すかっとした!! -- 2010-04-30 20 02 05 ゆかりんだけは何故か助けてあげる・・・なんて事はなかったのぜ! -- 2010-06-21 00 42 05 。・゜(゜⊃ω⊂゜)゜・。うう・・・ゆうかりんは助かると思ったのに -- 2010-09-07 05 26 44 ゆうかりん出てきてないよ -- 2010-09-24 21 35 37 おにいさん… 何というか興奮しすぎだぜ… -- 2010-09-29 22 18 46 あとゆかりんかわいいな -- 2010-09-29 22 20 14 お隣さんの方が一枚上手だったなww -- 2010-10-03 14 10 30 このお兄さん危ない -- 2011-03-08 12 45 23 確かにシンプルだが怖いよ! -- 2011-03-29 13 30 13 禁じられた遊びの方でまりさがおねえさんって言ってるからこの主人公は女じゃないかと…(恐) -- 2011-07-06 16 39 30 それにしてもこのお兄さん、ノリノリである -- 2012-03-13 20 44 22 ああ、このゆかりんは次の話で隣のお兄さんに埋められた奴か -- 2013-12-08 02 54 53 ゆかりんがちゃんと死んで良かった(安堵) -- 2014-10-27 11 17 14
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「ふたば系ゆっくりいじめ 871 のばす/コメントログ」 実験系はダラダラ感で読む気が失せる -- 2010-07-09 03 35 07 ↓それは作品の感想じゃなくて、自分の趣味だろ 他にもたくさん作品があるんだからそっちに行け、読む気がしないんなら感想なんて書くな -- 2010-07-25 22 25 43 面白いと思うけどね~、、、 最初に書いてあるから読まなくても済むと思うけど -- 2010-07-26 04 01 23 この絵見て分かった こんなんいたら確実に潰してるわ キモ過ぎるだろ常考… -- 2010-07-31 11 08 24 13㎞伸びろ。音速の500倍で。 ギン「そないに速くも長くも伸びません」 伸びるとか伸ばすとか聞くとこればかり思い出す。 -- 2010-08-06 21 58 40 そんなことより何で掃除機が一家庭に二台もあるのさww -- 2010-09-16 21 44 01 えっ えっ -- 2010-10-04 19 58 49 きめぇwww にょろにょろ思い出したわw 面白いな -- 2010-11-17 10 08 44 とりあえず作者が東北人なのはわかった -- 2010-11-23 18 02 19 体を二つにゆっくり引き伸ばす痛みってのは想像を絶するものだろう… 股裂きの刑みたいなもんか? -- 2011-10-26 00 40 11 これはきもいwww -- 2012-08-16 20 22 13 おぉ、キモいキモい -- 2013-07-12 17 05 52 ニャッキじゃねえかw -- 2013-07-31 11 56 57 シュールwww -- 2016-01-08 17 03 47 うーん、私だったらまりさよりれいむにこれをやるな -- 2016-09-26 20 09 12 ゆっくりに饅頭をいくつも繋げば、同じのが造れるだろうにww -- 2018-01-18 06 58 36 キッモwww -- 2019-03-31 01 39 24
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「ふたば系ゆっくりいじめ 692 素晴らしい贈り物/コメントログ」 もふもふは結構危険なんだが・・・ -- 2010-03-24 18 25 25 お湯に溶けた餡子がべたべたしそうだが・・・ -- 2010-06-29 15 09 53 サルは甘いもの好きそうだからな…れみりゃ・ふらん以上の脅威になりそうだ。 -- 2010-07-12 01 32 36 実は今家の近所に猿が出没してるんだ…ニュースになってると思うが -- 2010-09-12 23 37 07 というか温泉の深さどうなってんだ? -- 2010-11-24 22 37 33 サルのいる山にゆっくりが入ったらあっという間に絶滅させられるだろうなw -- 2011-06-19 10 18 26 設定に対して疑問符だらけの作品だったな。 -- 2018-01-11 11 46 31
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散歩した冬の日に 25KB ギャグ 野良ゆ 都会 借ります ゆっくりぬるいじめ 皆さんは、ビルなどに取り付けられている排気口をご存知だろうか。 いや、正確に言えば、そこから吐き出される空気の事を。 エアコン、空調設備なんてものは文字通り、室内の空気を入れ替えるためのものだ。 当然そこに至る過程として、外から空気の取り込み、そして中から空気の排出が必要となる。 途中機械による温度の変更や、それに類するものも含まれるのだろうが、それは今語る必要はないだろう。 それ自体は何の変哲も無い事実だ。ケチをつけるつもりも無い。 私だって現代人、エアコンという文明の利器に頼った経験がある。あれは素晴らしい物だ。 ただ、それは「中」からの話。 「外」側からとなると、少々都合が違ってくる。 これは、私の完全に個人的な経験から来ている話なのだが。 とある夏の日。 道を歩いていたとする。そう、ビルの間に挟まれたような小さい路地裏だ。 そこでふと見ると、右か左、どちらでも良いがどちらかのビルに排気口がこれ見よがしに取り付けられているのだ。 別に障害物となるわけではない。気に病むほどの事は無く、ただ通り過ぎれば良いだけ。 歩を進め、排気口を通り過ぎようとしたその時、 むわっ。 吹き付けられる風、と言うか空気の塊。 何とも言えない微臭。 そして何より、糞暑い中、それなりに溜まっていた苛つきを更に煽るような生暖かさ。 私は破壊衝動を高め、そこら辺にいるゆっくりを踏み潰しながら、往く、もしくは帰る。 排気口から流れ出す空気とは、かくもその様な悪意に満ち溢れた代物なのだ。 まったくもって救い難い。地球温暖化とかより先にこの問題を解決してもらいたいものである。 今のは夏の話だったが、冬もこの生暖かい風は絶賛稼動中だったりする。 夏に比べればそれなりに邪魔ではないにしても、それでもやはりちょっと臭かったり、気持ち悪い。 そもそも暖まりたければどこか室内に移動して暖房の恩恵を被ればよいのだ。 多くの人間様は、こんなものに頼る必要性を持ち合わせていない。 やはり排気とは読んで字の通り、「排」される空「気」以外の何ものでもないのだ。 いろいろと長く語ってしまったが。 まぁ、何が言いたいかっつーと。 「おがぁしゃん……しゃぶいよぅ……」 「あっちゃかいところにいきちゃいよ……」 「まりしゃ……ゆっくりしたいぃ」 「ゆっく…ぶるぶるさん、とまってね……」 「だいじょうぶだよ、おちびちゃんたち……ここならあったかいから、おかーさんとゆっくりしようね……?」 その排気口から垂れ流される温風を、身を寄せ合いながら受けているゆっくりの一家を見つけたというだけなんだけどね。 散歩した冬の日に 漸く寒くなってきた最近。 とは言っても、気温の変化は緩やかとは感じ難かった。 季節の変わり目は急だと云うが、よもや風呂入ったら秋から冬だったでござる、なんて感想を抱くとは思ってもいなかったのだ。 それ程までに寒い。正直もう既に夏が恋しかったりする。 夜にもなると更に寒さは顕著となり、息を白くして道を歩く日々である。 厚めのコートにズボンを穿き、自動販売機であったか~いコーヒーを買いながら家へと帰る。 今日もそんな一日の筈だった。 目の前に居る饅頭一家という例外さえ除けば。 でかい親ゆっくりと思われる、れいむ種が一匹。 その側には様々なサイズの子ゆっくり、子れいむ、子まりさが纏わりついている。 大体片手で数えられる程度の数。 何処ででも見かけ、何処ででも死んでいる程オードソックスな一家だった。 「ほら、おちびちゃんたち!みんなでいっしょにくっつけば、もっとあったかいよ!」 「ゆ……ゆんしょ……ゆんしょ……」 「ちょっとだけあったかくなってきたよ……」 「ゆっきゅ……ゆっくり」 「でもまださむいよぉ……」 饅頭が押しくら饅頭してる。 なんの諧謔だろう。 「……おかーしゃん、おとーしゃんかえってくるのいつ?」 「ゆ……」 「おとーしゃんはやくかえってきてほしいよ……」 「あったかいおうちみつけてくるっていってたよ……」 「おいしいごはんしゃんに、あまあましゃんもとってくるって……」 「まいしゃたち、もうまちぇないよぉ!」 「ゆ、ゆ……もうちょっとのがまんだからね、まりさはもうすぐかえってくるから……」 「おかーしゃん、もうかえろうよぉ……」 「……だめなんだよ、おちびちゃん」 「どーしてぇ!?おかーしゃん、もうおうちかえろうよぉ!」 「れいむたちは、『いそうろう』だったから……。もうあそこは、れいむたちのおうちじゃないんだよ」 「でもぉ!ごめんなしゃいすれば、きっとありしゅおねーしゃんだって……!」 「……だめなんだよ」 ……………………。 「だから、まりさがもうすぐあたらしいおうちをみつけてくれるから、それまでがまんしようね……」 「れいむ、おかーさんをこまらせたらだめだよ…?おねーちゃんといっしょにがまんしようね……?」 「わかっちゃよ!まいしゃもがまんしゅる!おとーしゃん、もうしゅぐかえってくるもん!」 「ね、れいむ、いもうともがまんするっていってるよ?」 「……ゆ、わかっちゃよ、れいみゅ、がまんしゅる……!」 (……邪魔だなぁ……) 苦い温もりを含みながら、そんな事を考える。 この道は帰宅時における最短ルートなのだ。 今更迂回すると言うのは面倒だし、ゆっくりに遠慮してやる理由などこの広い宇宙を隈なく探しても見つからない。 よし。押し通るか。 決めた所で、再び歩を進める。 硬い靴底が床に当たり、その音は一家にも聞こえたようだ。 「ゆ!にんげんしゃん!」 真っ先に気付いたのは幼い子まりさ。 そこから親れいむ達が振り返り、それぞれ興味、警戒、そして恐怖の表情を浮かべている。 前者は末女辺りの子ゆっくり、後者は長女から親れいむ。 一応ゆっくりにも経験の差はあるということか。 「にんげんしゃん!ゆっきゅりしちぇいってね!!!」 「おねーしゃん、ゆっくり!!」 「ゆ、ゆっくりしていってね……?」 「……れいむ、まりさ……」 見るからに小さい子れいむ、子まりさの二匹(幼れいむ、幼まりさとでも呼ぼう)は物怖じせずに挨拶。 それよりも二周りほど大きい次女(だと思う)まりさは明らかに警戒している。 亜成体ほどの長女(だろう)れいむに至っては妹達を逃がせるように何かの算段をしているようだった。 さて、親れいむは。 「………………」 ………仮に、初対面の相手がいきなり目の前で地面と熱い接吻を交わしていたら、 その意図が何であるか多少の時間は要すると思う。 見紛う事無く平伏叩頭。 どう悪意的に解釈しても、土下座以外の何ものでもない。 あるいは辞書の範例になりそうな程の、「下手に出る」態度。 自尊心だけは地球上の何者にも負けないゆっくりというナマモノが、こうまでする意味。 このれいむが今までのゆん生でどれだけ辛酸を舐めたか、この行為だけで想像できた。 「おい」 とりあえず、声をかける。 出会っていきなり土下座されるような悪行を、私はまだしていないつもりだ。 びくりと震えるデカ饅頭。恐る恐るといった様子で顔を上げ、私を見る。 分かり易い、滑稽な程の、怯えが目の中に見て取れた。 「………れいむはどうなってもいいですから、おちびちゃんだけはたすけてあげてください……」 「は?」 「おちびちゃんたちはゆっくりしたいいこなんです、れいむがかわりになんでもしますから………」 おいおいちょっと待て。土下座の次は命乞いか。 何を言っているんだこいつは。 そんなに私は恐ろしく見えるのだろうか。 少し傷付いたような気がしないでもない。 「どうか、どうかおちびちゃんたちだけは……」 「いやちょっと待て」 「ゆ?」 「いきなりそんなこと言われても意味分からん。 とりあえず私にはあんた達を殺す気は無いよ」 「ゆ!?ほ、ほんとうですか!?」 うん。とりあえず今のところは。 口には出さずに首肯だけ返す。 「私は此処を通りたいだけ。あんた達が邪魔だったから声をかけたの」 「ゆっ……よかったよぉ……」 へなへなと、その場に崩れ落ちるかのように身体を弛緩させるれいむ。 だから邪魔なんだが。 人の言うことを聞いているのだろうかこいつは。 「ねぇ、私はここを通りたいだけって言ったよね?さっさと退いてくれない?」 「ゆっ、わ、わかりました」 おちびちゃん、と声をかけて道の脇にどくれいむ一家。 冷えたビルの壁に体が触れて「ちゅべたい……」と子れいむが漏らす。 だがそこから動こうとはしない。一家揃って直立不動、私の邪魔をする気は皆目無いようだ。 「………………」 道は空いた。 もう私はまっすぐにこの道を行けるだろう。 そこには何の障害も無い。 が、私の心には一抹の好奇心が発生しつつある。 その対象は、このれいむ一家。 冬のうらびれた路地裏に佇む、どう見ても凍死を目前に控えたこの哀れな饅頭たち。 これだけならば何処にでもいるそこらの野良と変わらない。 ―――――だが。 随分と、お行儀が良いじゃないか? いっそ場違いな程、このれいむ一家は礼儀正しい。 テンプレならばここらでゲスクズカスと三拍子揃った糞饅頭が出てくるはずなのに。 不思議なことにこの一家は、少なくとも人間を恐れ、逆らおうとはしないように見える。 ………なんでだろうね? 一度気になったからには聞いてみたくなるのが人の性分。 私もその範疇にはしっかりと含まれている。 ならば聞いてみようじゃないか。 「ねぇ、あんた達………」 「ゆ?」 「れいむたちは、あっちのほうからきたゆっくりなんだよ」 そう言いながら、闇夜のどこか一部分を示すように見るれいむ。 あっちの方って。分からんがな。 「そこにはたくさんゆっくりがいて、みんなできょうりょくしてくらしあってて……」 「れいむたちはそこのありすに、『いそうろう』させてもらってたの」 「でも、もうすぐふゆごもりだからって、こんなにたくさんのめんどうはみられないって……」 「だから……だがらぁ……れ、れいぶは、ばでぃざといっじょに、あだらじいおうぢをぉ……」 「あー分かった分かった、いいから泣かない」 今此処に至るまでの道程を噛み締めているのか、徐々に泣き声交じりになっていくれいむの話。 きっと饅頭なりに辛い事があったのだろう。果てなくどうでも良いが。 「で、そのまりさは何処に行ってるの?」 「まりさは……あたらしいおうちとごはんをみつけて、れいむたちのところにかえってくるって……」 「ふーん」 逃げたか。 もしくは本当に新しい住居を探しているのかもしれないが、現実はそう甘くは無い。 今もまりさはこの寒空の下、存在するかも分からない『おうち』を見つけようとしているのか。 「ところで、何でその、群れ?を追い出されたのか、良く分からないんだけど」 「ゆっ、それは……」 「働かなかったなら、それは分かる。 でもさ、あんた達は見たところ、怠け者っていう風にも見えない。なんで?」 「ゆゆっ、ゆっ……………」 「……………………ああ、成る程」 れいむの話を聞きながら、私は最近読んだ本に書かれていた内容を思い出す。 あれは―――確か、都市部に於けるゆっくりの行動学、だったか。 ―――ゆっくりにとって、冬とは即ち死の季節に他ならない。 飢えに倒れ、寒さに凍え、それを避けようと穴蔵に篭り、またそこで不慮の死を量産する。 年がら年中死に続けているゆっくりだが、冬とそのほかの季節では死亡率に差があるのだ。 これは野良、というよりも、むしろ野生のゆっくりがそうであると云えよう。 では野良ゆっくりはどうであるか。 驚くべきことに、野良ゆっくりの冬における死亡率は、他のそれを下回るのだ。 (ちなみに、それでも野生のゆっくりが1匹死ぬ間に野良ゆっくりは2~3倍ほど死んでいるのだが、事実は事実だ) 自然の摂理に逆らうかの如きこの現象は、大別して三つの理由から説明付けることが出来る。 一つ、寒さを凌げることの出来る場所の多さ。 街には、様々な所にゆっくりが隠れ住むことの出来るスペースを有している。 例を挙げれば、路地裏の目立たぬ一角、公園の隅、自動販売機の下、或いは公衆便所、或いは高架の下、etc。 加えて、段ボールでも確保できればそれ自体が即席の住処としても機能するのだ。 現に、この一家はひとまず寒さを凌ぐことに成功している。 本当にひとまず、ではあるが。野良ゆっくりにとって巣とは、「隠れ住める」という条件も必要になる。 一つ、ゆっくりの活動減少。 冬になれば、ゆっくりはその寒さから多くの行動を控えるようになる。 気軽に外へ出ようとはせずに、巣に篭りがちになる。 普段用も無く外出するゆっくりは、外敵(主に人間)との遭遇により命を落とすことが珍しくない。野良ゆっくりは更に顕著だ。 だが反面、冬にお決まりの飢えとはそれほど縁が無い。人間が出すゴミという食料のためだ。 野良ゆっくりは人前に姿を晒さなければ、安全に生を送れると言っても過言ではない。 もっとも、この一家はこの時期に巣を探し、あまつさえ人間に見つかってはいるが。 最後に一つ、これが最も大きい理由となる。 これは近年になって確認されてきた事項であるが…… 野良ゆっくりは、他ゆっくりとの相互間における協力度合いが、野生ゆっくりのそれとは比べ物にならないほど高い。 これは、野良ゆっくりの主な死亡原因、外敵の多さにそのまま起因する。 通常、ゆっくりとは自侭な性格で協調性がほぼ無い、という認識が一般的だろう。これは凡その所、正しいと言える。 しかし野良ゆっくりは苛酷な環境を生き抜くため、狡猾さという特長を備えた。即ち、他者を利用する事を。 例を挙げよう。 人間のゴミ捨て場を、10匹のゆっくりが窺っている。 目の前にはゆっくりからすればご馳走、宝の山。我慢しきれずに一匹のゆっくりが飛び出していった。 だが、残り9匹は動かない。凝と走る一匹の後ろ姿を見つめている。 それは何故か? 簡単である。 欲に駆られて飛び出せば、罠に掛かるかもしれない可能性を考慮したためだ。 9匹の危惧通りに現れた人間は、哀れなスケープゴートを踏みつけ、掴み、何処かへと連れて行く。 その隙を突いて、9匹はそこそこの量の獲物をきっちりと分け合った。 欲張れば諍いが起きる。そしてそれは時間を食う。いつ人間が戻ってくるか分からないのに、暢気に喧嘩?冗談ではない。 急がば回れ。慌てる乞食は貰いが少ないのだ。 かくの如し、ゆっくり達は他者を競争相手であり、撒き餌であり、盾であり、仲間と見た。 狡猾は一種の協調性と成し、それはある種の協力へと発展したのだ。 知っての通り、ゆっくりは弱い。一匹だけでは脆弱も極まるだろう。 だが多数のゆっくりが団結し、一つに纏まればその力も大きくなるのは自明の理。 野良ゆっくりは『情報』というものの価値に気付き、それを共有し始めたのだ。 直接の利害関係になくても、他者を知っているという事実は重要なことになる。 何故ならば、それは「知り合いがそこに居る」という事実自体が既に大切な情報だからだ。 もしも、知る筈の者が居なければ、そこに何らかの危険があったという可能性も考え得る。 他者の存在自体が、その場所の安全を確保しているという証明に他ならないのだ。 かくして、野良ゆっくり達は一種のコミュニティとも呼べる情報網を作り上げつつある。 これにより、保健所や加工所の野良ゆっくり狩りは、その効率を大きく引き下げることになるだろう。 コミュニティは、最低限度の能力を持つゆっくりさえ居れば、その数に正比例し拡大する――― と。 本の内容と現状をすり合わせるうちに、大体の話は掴めた。 コーヒーを一口飲む。少し冷めてきたな。 この家族、少なくとも親れいむか親まりさは、『最低限の能力を持つゆっくり』以下の、穀潰しだった様だ。 先述のように、ゆっくり間のコミュニティは最低限度の能力さえあればいくらでも大きくなる。 逆に言えば、その能力が無い奴、それどころか皆の足を引っ張るような無能者も居るということに他ならない。 これまでれいむ一家がコミュニティに属していられたのは、何らかの情けでもあったのだろう。 来る冬に備えて、口減らしとして切り捨てられるのは寧ろ当然といえる。 そしてれいむ一家の行儀の良さもなんとなく理解できた。 こいつらは、それ以外に能が無かったのだ。 居ても居なくてもどちらでも構わないが、人が良いからとりあえず邪魔にはならない。 そんな程度の存在。 頭を下げ、媚び、諂い、情けを恵んでもらう。 無能が無能なりに編み出した処世術だったのか。 成る程、れいむ一家が此処でこうして路頭に迷っているのは、当然の結果なのだ。 寒さに震えるのも、惨めな思いをするのも、全て自業自得に過ぎない。 それに、まだこの一家は幸せな方だろう―――寒さに震える、という行為自体を行えないゆっくりはそこらじゅうに居る。 「ゆ、おねえさ……」 「寄るな、臭い」 「ゆ、ごめんなさい……」 近寄ろうとしたれいむから距離を置く。 元から野良の身なりの上に、排気口の風をたっぷりと浴びたれいむ一家の臭気は少々耐え難いものがあった。 コーヒーの残りを流し込む。 もうこの一家に対する興味は薄れてきていた。 やはり、何処にでも居るありふれた野良ゆっくりでしかなかったのだ。 それがどれほど善良な個体だとしても。 多少、気の毒ではある。 だが私には何もしてやれないし、する気も無い。 そこまでする義理も情けも私は持ち合わせていない。 ―――もう、帰るか。 そう、足を踏み出そうとして、 「おねーしゃん」 「ん?」 幼まりさの呼びかけに、振り向いた。 何の用だ。 口には出さずとも、そう表情で問い質す。 幼まりさの顔には純粋な好奇心が見えた。 「おねーしゃん、そのごくごくしゃん、おいしい?」 「あ……? コーヒーの事?」 「ゆん、そのこーひーしゃん、おいしい?」 キラキラした瞳でそう訊いてくる幼まりさ。 その隣にいる幼れいむも、喋らずとも似たような態度だ。 「不味い。少なくともあんた達には。 それに私は、あんた達にあげる気は無いよ。もう無くなっちゃったし」 「ゆぅ」 「じゃんねんだね、まりしゃ」 しょんぼりする幼まりさ、そしてそれを慰める幼れいむ。 ……やけに諦めが良かった。 やはり野良の割には、性格が良い。 「……っお、おねえさん!」 再びれいむが私を呼ぶ。 さっきから何だ。 「おねえさんに、おねがいがあります!」 お願いとな。 ………嫌な予感がする。 褒めた途端にこれか。 「おねえさん、どうか―――」 もみあげでリボンの付け根辺りをまさぐるれいむ。 そうして取り出した先には、 「これで、おちびちゃんたちにぽかぽかさんをかってあげてください!」 それはどう見ても、千円札以外の何物でもなかった。 「……………ぁえ?」 我ながら、素っ頓狂な声が出た。 あれ? そこは「れいむ達を飼って下さい」じゃないのか? そうして分不相応な願いを以って、人間の怒りを逆撫でするのがゆっくりだと思――― 「っていやいやいや、れいむ、それは一体、何?」 「………ゆ?………おかね、だと、おもいます………」 尻切れトンボになっていくれいむの声。 いや、確かに合ってはいるんだが。それは紛う事なきお金だが。 「たまたまひろったけど……れいむはゆっくりだから、おかいものができないんです……」 それはそうだろう。 飲食店の野良ゆっくりに対する心証は、『悪い』どころでは済まされないものだ。 見つけ次第追い払い、酷い場合は(そしてそれが殆どだが)殺してしまう。 加えて、自動販売機なども――身長などの理由で――ゆっくりが使えるような代物ではない。 総合して、ゆっくりが持つ金銭など、猫に小判の喩えそのものと言って良い。 「おねえさんは、れいむたちのおはなしきいてくれたいいひとだから…… おねえさんならきっと、ぽかぽかさんをかってくれるとおもって………!」 ゆっくりが持って無意味なものでも、人間が持てば意味を持つ。 ならば、人間に頼んで買い物をして貰おうというのか。 それは、全く以って正しい。 「おねがいじばず!!おぢびぢゃんだぢに、どうかぽがぽがざんをがっであげでぐだざい!!! ほがのひどにはたのべないんでずぅ!!おでがいじばずぅぅ!!!」 再び土下座。それも滝のような涙を流して。 必死すぎる。 逆に言えば、それだけ追い詰められているということか。 「おでがいじばず……どうか、どう゛かぁ………」 冷えた道路は痛みさえ齎すだろうに、それでもれいむはぐりぐりと己の顔を擦り付けている。 「………あのさ、そこは普通、『れいむ達を飼って』とか、そんなんじゃないの? そうすればこんな場所に居る必要もないんだし……」 ピタリ、とれいむの動きが止まる。 そこから一際大きく、ブルルッ、と震えた。 「………れいむ゛たちは『のらゆっくり』だから゛、かっても゛らうなんてむ゛りなんです………」 「は?」 「ぱちゅりーも、ま゛りさも、おむかいのれいむも…… 『にんげんさんにかってもらう』っでいって、それで、ずっどゆっぐりしぢゃいまじだぁ」 「ほがにも、たくざん、たぐさん……『かいゆっくり』になろ゛うとして、ゆっぐりしちゃったゆっぐりが、いる゛っで。 ありずが、おじえでぐれまじたぁ」 「だがらぁ……どうか、おねがいじまず……おちびぢゃんに、ぽかぽかざんをぉ…… それだげでいい゛んでず、どうか、どう゛かぁ………!!」 「………………………………………は、ははっ」 思わず。 笑ってしまった。 自分達は野良ゆっくりだから、どう頑張っても飼いゆっくりにはなれない、か。 何匹も何匹も、そんな幻想を求めて死んでいった仲間を知っている、か。 だからそんな夢よりも、今はよりちっぽけなものに縋りつきたい、と言うのか。 ―――――このれいむ、弁えている。 素晴らしい。 全く素晴らしい。 これほど面白いゆっくりに会ったのは久しぶりだ。 拍手喝采を送りたいほどだ。 無能だから群れを追い出された? 馬鹿を言うな。 こいつらにはそんな事より大事な、己の分というものを知っている。 寧ろ野良でいさせることが惜しいほどだ。 「れいむ」 「ゆ゛、はい゛っ」 思えば何と不憫な連中だろう。 生まれる場所さえ違っていれば、きっとこの一家は幸せな一生を送れたはずなのだ。 それをどう間違えたか、こんな場所で、こんなに哀れに。 だから。 初めはそんな気など微塵も無かったのだが。 「その千円札、よこしなさい。 ………買ってきてあげる」 ここは一つ、情けをかけてやろうじゃないか。 「ゆ゛ぅ……よかった……よかったよぉ……!」 「おねーちゃん、ぽかぽかさんたのしみだねー」 「ねー」 そんな会話を離れて聞きつつ、私は自動販売機の前に立っていた。 手の中の千円札は薄汚れている。 だがまぁ、使えないほどではない。 れいむ達は「ぽかぽかさん」と言っていたか。 その要望を叶えるには、コーヒー……では不可だろう。 ゆっくりの舌には苦すぎて、とても飲めた物ではない。 相応しいとするならば、恐らくこれであろうか。 「あったか~い」と銘打たれている、つぶ餡入りお汁粉、120円。 一本で十分だろう。そういえば、釣銭をどうするか聞いていなかった。 ………頂いてしまおう。 他に、めぼしい物は……無し。 と、すれば決まりか。 指を伸ばしてボタンに触れ、 ―――――お決まりの落下音。 私は取り出し口から目的のものを取り、釣銭用のレバーを引く。 戻ってきたのは500円玉一枚に、100円玉が四枚。 900円だった。 「お待たせ」 「ゆわーい!!」 「ぽかぽかしゃんだー!!」 「ゆううぅぅぅ!!ありがとうございばず、ありがとうございばずぅ……!!」 戻ってきた私を迎えたのは、歓喜と感謝の声。 特にれいむは、三度目の土下座をするほど感極まっていた。 「おねーさん、それがぽかぽかさん?」 「ああ、そうだよ」 「おねーちゃん!ぽかぽかさんだってー!!」 「やったね、まりさ!!」 長女れいむと次女まりさも喜色満面、最初の警戒が嘘のようだ。 「おねーちゃん、ありがちょー!いっしょにゆっくちちようね!!」 「れいみゅも!!れいみゅもいっちょにゆっくちしゅる!!!」 「そうだね、一緒にゆっくりしようね」 適当に相槌を打つが、それでも幸せそうな満面の笑顔。 思えば最初から幼まりさと幼れいむは私に対して一切の警戒を抱かなかった。 「このごお゛んは、いっじょうわずればぜん!ありがとうございばずうぅ!!!」 「いいんだよ、そんな大層なものじゃないし」 れいむの金で私が買い物をしたと言うだけの話なのだから。 「ほら、あんた達。そこに並んで、口を空けて」 「ゆ?」 「今から私が飲ませてあげるから。 あんた達、手が無いでしょ?コレを噛み千切るってのは無理があると思うし」 「ゆ、そうだね!ありがとうおねえさん!ゆっくりひらくよ!!」 そのまま「ゆぁ~ん」と、一様にその大きな口を開けるれいむ一家。 少し苦笑してしまう。私が言い出さなかったら、どうするつもりだったのか。 まさかまた他の人間を捕まえて、開けてくれるように頼みでもする気だったのかもしれない。 出会って数分、たったそれだけの時間でこの一家は私をここまで信頼している。 もはや野良ゆっくりには見られなくなった気質。 おそらくこれが、本来の「ゆっくり」という奴なのだ。 返す返すも、このゆっくり達が不憫でならない。 こんな所で寒さに、飢えに苦しむのは彼女達にとって不幸でしかない。 出来得る事ならば、そんな目には遭わせたくなかった。 私と別れた後も、彼女たちは不幸でい続けるのだろう。 それを回避するには、どうしたら良いか。 だから私は、そっと、 ―――――ペットボトルのキャップを外し、中身のミネラルウォーターをぶち撒けた。 「ど、どぼ、どぼぢで」 今度こそ本当に帰ろうとした私を、れいむが呼び止める。 歯の根が合わず、ガチガチと鳴らすその姿は「暖かい」などと云うものからは無縁だろう。 ―――当然だ。頭から冷水を被って、濡れ鼠ならぬ濡れ饅頭になったのだから。 むしろ今すぐ凍死してしまわないのが不思議な程だ。 「お゛、お゛ね゛え゛ざん、どぼ、じで、ごんな゛、ごど」 息も絶え絶えに言葉を紡ぐれいむの側には、同じく4つの濡れ饅頭。 長女れいむと次女まりさはひたすら震えるだけの物体と成り果てている。 幼れいむと幼まりさは……水を掛けられたショックで逝った様だ。ピクリとも動かなかい。 「れ゛、れ゛いむ゛は、お゛ね゛えざんを」 「あのね、れいむ」 振り返りつつ、答えてやるとする。 きっとれいむは、何故私がこんな事をしたのか知りたいだろうから。 「どうしてこんな事をしたのか、ですって? 決まってるじゃない。簡単なことだよ」 「―――あんた達が可哀想だったから、情けをかけたのさ」 それに尽きる。 でなければ、どうして私がこんな事をするのだろうか。 この無能な家族は、野良には相応しくない善良なゆっくりだった。 そして野良らしく、惨めに苦しんでいた。 寒さに震え人に慄き、帰るかどうかも分からない父親を待っていた。 それを哀れと思うのに、不思議な点など何一つも無い。 仮に、私がれいむの為に餌を恵んでやったとする。 それは感謝されるだろう。つい先ほどまでのように。 だが、それで終わりだ。 後の彼女たちを待つのは、長い冬と、寒さと、飢えしかない。 それを見過ごせないのなら、いっそ本当に飼いゆっくりにしてやれば良いか。 生憎だが私は、そこまで優しくはない。 哀れだと思うから飼ってやる――とは、どうしても思えない。 れいむも弁えていたように、野良ゆっくりが飼われる事など、そう有り得る話ではないのだ。 では、どうするか。 その場限りの情けは無用。飼ってやる程の義理は持ち合わせていないとなると、何をすれば良いか。 幸いにも私は、その問いに対して一つの答えを持っている。 出来るだけ苦しまずに、死なせてやれば良い。 どうせこの先生きていても、野良ゆっくりに幸福など訪れない。 で、あるならば――すっぱりとその生を断ち切ってやるのも良いのではないか? そう、例えば、凍死とか。 濡れた身体とこの寒さは、容赦なく体温を奪っていく。 やがて感覚は麻痺し、寒さというものすら分からなくなって、ただ凍えるよりも簡単に、呆気なく、逝く。 じわじわと押し寄せる冬や、飢えや、あるいは人の暴力に晒されて死ぬよりも―――何倍もましな死に方だろう。 だから私はこの行動を選択した。 一日生かして残りを苦しみ抜かせるより、苦しみを味わわせる前に終わらせてあげた。 これこそ慈悲というものだ。 「まぁ、なんだ。あんた達」 涙も凍りついた、と言う表情のれいむに告げる。 「今回、って言うかさ、生まれつきが悪かったと思うんだ。 よりにもよって、野良ゆっくりの、れいむ、まりさ種とか」 れいむ達は、私の気持ちを理解しないだろう。 が、構わない。 『救い』には、こういう形もある。 「だからさ、来世――があるとすればだけど……… その時にはもうちょっと、ましなものに生まれてこよう、な?」 もう振り向かない。 私は家へと続く道を歩き始める。 れいむはもう、何も言わなかった。 帰り道を歩きながら、ふと思う。 ―――情けをくれてやったのは良いが、あれはゆっくりの死体という生ゴミを作り出す行為ではなかったか? しまった。 その事に考慮が全く行き届いていなかった。 個人的動機で、公共の場を汚すなどあってはならない事だ。 明日の朝は、ゆっくり酔うビニール袋でも持って行った方が良いかもしれない。 凍りかけの饅頭5個がそのままになっていたら、私がしっかりと回収しなければ。 自分で出したゴミは、自分で捨てる。当然の事だ。 そう思いながら、私は歩き続けた。 これは蛇足だが、歩いている途中にゆっくりの死体を見つけた。 ゆっくりまりさ、だったと思われるもの。 顔が潰され、帽子も無いのであくまで推測に過ぎないのだが。 大きさは、ちょうど先程のれいむと同じくらい。 点々と続いていた餡子から推測するに、こいつは私のもと来た道に向かっていたようだ。 まぁ、それがどうしたと言うことも無く。 私は気にせず、そのまま去った。 おわり * * * * * 話の構成的に駄文。 だけどゴミ箱に沈めるのも勿体無いので、こうして供養させました。 ゲスをぶっちめるのも良いけど善良なゆっくりを理不尽に絶望、蹂躙するのも素敵だと思うんだ。 お久しぶり。 色々忙しかったけど人心地ついてまたSS書きました。 ほら、これリハビリも兼ねてるから「つまらん」とか「善良に見せようと無理して装ってない?」とか叩かないでね! byテンタクルあき 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 2 散歩した春の日に ふたば系ゆっくりいじめ 3 ちょっと鴉が多い街のお話 ふたば系ゆっくりいじめ 22 伝説の超餡子戦士 ふたば系ゆっくりいじめ 38 とある野良ゆっくり達の話 ふたば系ゆっくりいじめ 46 散歩した5月の日に ふたば系ゆっくりいじめ 48 ゆうかにゃんと色々してみよう! ふたば系ゆっくりいじめ 128 れいむとまりさがだーい好き!! ふたば系ゆっくりいじめ 136 つむりはとってもゆっくりできるんだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 324 散歩した秋の夜に ふたば系ゆっくりいじめ 372 新世代清掃工場 ふたば系ゆっくりいじめ 385 どうしてそう思ったの? ふたば系ゆっくりいじめ 386 最終地獄 テンタクルあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓はいはいニートニート -- 2016-01-31 10 50 22 内容も好きだが文章、というか文体も好きだ 良質なSSを読ませてもらいました。感謝 ただ冒頭の排気口の流れ、エアコンは熱交換だから内部の冷却に対して外部に熱排出がある それは分かっているような口ぶりだが、地球温暖化云々を言うなら冷房自体をやめろというに他ならず 無知なのかなんなのかよく分からない。 もっとも、このお姉さんがそうだというだけで作者はそういうキャラを描いただけだと思うが 冬場は暖房の熱交換で室外機は冷気を吐き出すんだけど、温風と言うことは ボイラーの廃熱とかの暖房機の排気なのかな? 無煙とは言え油の燃えた臭いは確かにキツイw -- 2012-12-30 16 17 56 120円のお汁粉買ったはずなのに、釣りが900円ってのに首をかしげたんだが。成る程。確かに水なら100円でかえるもんな。 -- 2011-09-08 06 03 51 でいぶのおぢびぢゃんがああああああああああ!! とか言う間もなく逝ったのかね? あ、それはゲスのセリフかw それにしてもこのおねえさん冷めてるなぁ・・・素敵だ -- 2011-08-27 02 51 00 >なぜわざわざ水掛けたんだこの人? おもしろいからでしょ 温かいあまあまが来ると思ってるところに冷水をぶっかけるなんて最高じゃないw 苦しまずに死なせたいとか言いながら虐待しちゃうところがまたおもしろいw -- 2011-05-26 05 27 14 苦しまずに死なせたいならサクッと潰してやればいいじゃないの もっと手軽で金もかからず何より自分の目的に沿った方法があるのに なぜわざわざ水掛けたんだこの人? -- 2011-05-24 00 30 16 これめっちゃおもしれえ!!パネェゆっくりできたよ!! 善良理不尽虐待は最高だね! まあこのSSのおねえさんは理不尽だとも虐待したとも思ってないけどね 筋が通っていないという意見もあるようだが饅頭に筋なんか通さなくていいよ むしろ理不尽だからこそ楽しいんだよ このSSでゆっくりできなかった人はおそらくゲス制裁が好きで 善良は幸せになってほしいタイプの人だろうと思うけど 善良理不尽虐待が大好きな人だっているし、どっちが偉いなんて事はないんだから お互いを尊重し合いましょうよ ただし愛では逝ってよし! 特に自分の考えたオリジナルゆっくりを過剰贔屓する奴は地獄行きな!! -- 2011-03-10 13 17 55 コメント欄にはあきれるばかりだな お前等はゆっくりを人と同等クラスに例えて話を読みすぎだ 意思を持って人語の話せる畜生以下の「物」として扱うのが普通だぞ? そしてそのクズが苦しんでる中、苦しみを終わらせる為に人間の時間を使う事が どれだけ慈悲深い事か考え直せ -- 2010-11-26 04 18 50 ナルシストに感じたなー ゆっくりから金巻き上げただけにしか見えない -- 2010-10-21 20 32 33 でも筋を通さない虐待お兄さんとか美学がない感じがして嫌だ -- 2010-09-11 15 58 05 いじめSSWikiなんてトコロで「自分は筋の通った事しかしない立派な人間」を主張するなんてカッコいいね! -- 2010-08-22 23 34 50 憐れな末路なゆっくりは心がなごむね。 -- 2010-08-20 15 37 57 まあ、ゲスじゃなかったから一発で殺してやればよかったんじゃないかと。 おもしろかったよ -- 2010-07-26 05 15 30 「これこそ慈悲というものだ」?「『救い』にはこういう形もある」? 自分で完結させた常識を他者に勝手に当てはめて命奪ってああいいことしたって、完全にナルシストのゲス人間の発想だなおい 虐待するなら自分の負の部分をまっすぐ見ることは必要なはずだ そうじゃなきゃただの気狂いの犯罪者となんら変わりない 虐待しといて自分の善人っぷりに酔ってるような人格は最低だと思う -- 2010-07-25 00 56 21 あまったおしるこさんはちぇんにちょうだいね わかってねー -- 2010-07-14 19 30 32 水をぶっかけるとか、このお姉さんとっても都会派ね。 -- 2010-06-30 09 43 48 お汁粉食べさせてやれよ。 「しあわせー」状態でうっとりしている間に、苦痛に無いように即死させてやれよ。 やってることが「持ち上げて➝落とす」タイプの虐待じゃん。 -- 2010-06-30 06 24 51 おねーさん素敵過ぎ -- 2010-06-27 01 01 04 こういうの好き。 -- 2010-06-11 04 47 10 ゲスゆっくりの話かと思ったらゲス人間の話かよ・・・ 情けをかけるならせめて汁粉かけてから殺せよ 貧乏人だから楽にしてあげる精神は優越感からくる侮蔑だ -- 2010-03-18 00 29 04
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「ふたば系ゆっくりいじめ 1097 ゆ虐ツアー/コメントログ」 微妙 -- 2010-08-02 22 01 36 このツアーに行きてぇぇぇ!! -- 2010-10-24 16 34 37 うーん、ちゃんと憎まれ口を叩かせてやることも出来ないそーろーお兄さんだと思ったら、 ゆ虐童貞さんたちなのね。 -- 2011-07-13 23 33 52 × とゆう ○ と言う SS書くのはいいけど、最低限の日本語は使えるようになろうや -- 2012-09-01 01 19 24 3DSで見とるけど『ゆ』と変換すると ゆっくりになるw -- 2013-05-07 02 20 12 ↓わかるよ~ -- 2014-03-22 22 59 39 わかるよー! -- 2015-10-11 21 23 41 本当に無駄ダナ -- 2021-03-03 20 33 32
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お姉さんのまりさ飼育日記 15KB 『ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね』おまけ。 例によって面白さよりも、本編の物語に奥行きを与えることが目的となっています 虐成分はほんのり漂う程度。 「どっ、どうか惨めなアッシに、『竜巻』のいじられまりさ一家の後日談をお恵みくだせぇ。」 というリクエストがあったので、ついでとばかりにそれっぽく書きましたが、 実際は、しばらく本編書く暇ないんで、とりあえず秋・冬編の予告版を、ということを目的としています。 あと、これまでのダイジェストも。 最初の1行は忘れて下さい。すんません。 『お姉さんのまりさ飼育日記』 D.O 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 公園の植栽に埋まった段ボール箱の中で、今日も元気な挨拶が交わされる。 このまりさ一家の一族は、公園では古株である。 お水は噴水があるので潤沢、物陰も多いため、雨風も防げて危険も少なく、町ゆっくりでは勝ち組だ。 「ゆーん!きょうもぽかぽかできもちいいよ!」 お母さんまりさは、ちょっと抜けたところがあるが賢く、公園の人気者。 「でもおきゃーしゃん、ゆっくちおなきゃしゅいたのじぇ。」 長女まりさは食いしん坊。 「ゆっくち!ゆっくち!」 末っ子まりさは少々成長が遅れ気味だが元気いっぱい。 「ゆゆっ!きょうはみんなでかりにいこうね!」 まりさ一家は、今日も昨日までと同じ、春の平和な一日になると思っていた。 空から生えた、アレを見るまでは。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「「なんなのあれぇぇぇぇぇえええええ!!!」」 まりさ達の視線の先では、理解を超えた現象が起こっていた。 雲さんに生えたあんよが、一歩前に踏み出すたびに宙を舞う木片、ゴミ、瓦、ゆっくり。 轟音とともにさらに風は激しさを増し、まりさ達の周囲ではゆっくりどころか人間さんまで騒ぎ始めている。 「はっはっはっはっ!!!見ろっ!ゆっくりがゴミのようだ!!!」 竜巻。 ゆっくりどころか人間さんにとっても極めて危険な自然現象。 まりさ一家の周囲は怒号と轟音に包まれた。 まりさ一家は、逃げた。生き延びるために。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 優宇河お姉さんは近所の小中一貫校の家庭科教師。 勤務先の同僚である校務員ゆうかりんに、軽いイタズラをするのがマイブームな人間さんだ。 この日も若い女性の身で独り暮らしを続けながら、自分もゆうかりんと一緒に学校に住みたいな、 などと考えていた。 「え・・・竜巻?うっそでしょぉぉおお!」 買い物帰りの優宇河お姉さんも、さすがに危険を感じて自宅までの道を駆け抜け、 鍵を開けるのももどかしく、一気に家に飛び込んだ。 足もとを通り抜ける影に気づくことなく、ドアに鍵をかける。 「危なかったわ・・・。街中で竜巻って、冗談じゃ「ゆぅ、たすかったよ。おちびちゃんたちもおくちからでてきてね!」?」 「「「ゆっくちー。」」」 「ちょっと!どこから・・・どさくさまぎれに足もとから入ってきたのね。」 (はぁ、まあ外があれじゃあしょうがないわね。しばらくかくまってあげましょ。) 彼女はこれまで、ゆっくりに関しては希少種にしか興味はなく、まして自分で飼おうなどとは考えたこともない。 とはいえ勤務先の学校では胴付きゆっくりが普通に働いていたりするので、拒否反応もなかった。 その一方母まりさの餡子は恐怖に凍りつく。 (にんげんさんのおうちに、かってにはいっちゃったよ! みんなころされちゃうよ。おちびちゃんだけでもたすけないと。 でも、どうしよう。) 母まりさの餡子はフル回転して最善の方法を探す。 ひたすら謝って、許してもらおう。 竜巻の荒れ狂う中を逃げよう。 現実は非情である。潔くあきらめよう。 →とりあえず疲れたのであまあまをもらおう。 「ゆゆっ!?にんげんさんはかわいそうなまりさたちにあまあまをもってきてね!」 他方おちび達も、母まりさの尋常でない雰囲気に、危険を察知する。 (お母さんが怖がってるよ。 きっと人間さんに怒られるんだ。 でも、まりさ達じゃ、人間さんに勝てないよ。 どうしよう。) 赤まりさ達の餡子もフル回転し、生存のための道を探す。 お母さんを置いて、四方に逃げて物陰に隠れよう。 一番安全な、お母さんのお口の中に隠れよう。 現実は非情である。潔くあきらめよう。 →よくわからないけど、とにかく謝ろう。 「「きゃわいくってごめんにぇ!!!」」 (随分な態度ねー。ゆうかりんとえらい違いだわ。まぁ、躾されてないとこんなもんかしらね。) 「もっと奥に行きなさい。玄関も危ないわよ。」 (ゆゆっ!?ちかづいてきたよ!おちびちゃんはまりさがまもるよ!) 「まりさのおはなしをきいてるの?ばかなの?」 (とりあえず家の奥に行かないとね。うわ・・・汚い。持ちたくはないわ。指で突っついたら転がっていかないかしら。) つんっ、つんっ、ころころころ・・・ 「「いちゃーい!おきゃーしゃんたしゅけちぇぇぇえ!」」 「まりさのかわいいおちびちゃんをぼうさんでつつかないでね!」 指で優しく転がしているとはいえ赤まりさにはちょっと痛かったみたいである。 しかし、末っ子まりさだけはなにやら様子がおかしい。 「い、いちゃいけど、ゆふぅん・・・しゅっきりー!」 「おちびちゃんどうしてすっきりーしちゃうのぉぉぉおおお!?」 (・・・性癖はともかく、個性あるのね。みんな同じ饅頭かと思ってたけど・・・) 「意外と面白いわね。」 このあと、まりさ達は風呂場まで転がされ、じゃぶじゃぶと体を洗われて、 訳のわからないうちにこの家で最初の一夜を過ごすこととなった。 まあ、最初の意志の伝達が上手くいったとはとても言えないが、まりさ一家は運が良かった。 これが、優宇河お姉さんとまりさ一家の共同生活の始まりであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4月○○日 今日は日曜日なので取りあえず家にはいるんだけれども、ゆっくり達はどうしたものか。 明日以降のことも考えるとやっぱり放してやるべきかなぁ、などと優宇河お姉さんは考えていた。 一方まりさ一家は戦々恐々である。 よくわからないけど酷いことはされなかった。 でも、これからされるかもしれない。 そこで、彼女たちがとった行動は、 「ここはまりさたちのおうちだよ!ゆっくりしていってね!」 「「きょきょはまりしゃたちのおうちだよっ!ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」」 おうち宣言。 自分の縄張りの主張である。 「えー、ちょっと。まずいわねぇ。よくわかんないけど、なんか許しちゃいけなかったはずだけど・・・。」 優宇河お姉さん、自分でもここでようやく気付いたが、ゆっくりの飼い方なんて全然知らなかった。 とりあえず、明日にでも学校でゆっくりの飼い方を調べよう、とは思うが、取りあえずどうしたものやら。 「ねえ、まりさ。ここはお姉さんのおうちなの。今はまりさ達は居候なのよ。」 「ぷっきゅぅぅうううう!きょきょはだれもいなかっちゃよ!だきゃらまりしゃたちのおうちだよ!」 「誰も居ないって、私が居・・・?」 まりさ達の背後には、40センチ×60センチ×30センチ程度の、お姉さん自作おもちゃ箱。 「・・・慎ましいわね、あなた達。好きに使ってよ。」 「ところであなた達。そこで暮らすくらいならウチで飼ってあげよっか。」 「ゆ?」 「ウチの飼いゆっくりになるの。イヤ?」 「ゆ・・・ゆゆっ?」 「私に飼われるのは、イヤ?」 「・・・ゆ・・・ゆっゆっ・・・?ゆひへぇ・・・」 「うわっ、何中身吐いてんのよ!嫌だったのかしら。」 表情を見るとそうでもない。 歓喜3と驚愕7を混ぜたような表情をしながらまりさは餡子を吹いて気絶していた。 「おにぇーしゃん。」 「?何?」 「かいゆっくちって、まいにちむーちゃむーちゃできりゅの?」 「ご飯は毎日あげるけど。」 「ゆわーい!やっちゃあ!」 なんか涙が・・・ 優宇河お姉さんは、とりあえずゆっくりフードを買い込んで、 後のことは、明日以降に何とかすることにして、取りあえず考えるのをやめた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4月○×日 優宇河お姉さんもさすがに、生き物を育てようというのだから、最低限の飼い方は勉強しないとダメだ、 餅は餅屋、ゆっくりのことはゆっくりに聞いてみよう、と思い立った。 優宇河先生の働く学校では、学校の施設管理を任されている公務ゆっくり、ゆうかりんが勤めている。 最近はゆうかりんも仕事の幅を広げたいという名目で、優宇河先生に料理を習っている。 当面、倉塚校長にお弁当を作ってあげるという目標に向かって奮闘中だ。 優宇河先生は、いつもどおりエプロンを着けたゆうかりんに目玉焼きの作り方を教えながら 野良ゆっくりについて聞くことにした。 「やっぱり野良ゆっくりを飼うのって手がかかるの?」 「んんっ・・・そうですね・・・ぁぁ・・・育ちによりますよ・・はぅ!」 「話では、町で数世代は過ごした感じね。」 「ふはぁっ!ぅぅ・・・それなら、そこそこ分別は・・・ふぅっ・・・あると思います。」 「分別ねえ。やっちゃいけないことは分かるって感じかな?」 「うっんんぅっ!ふぁぁ・・・それなりに・・・遠慮はあると、んふぁ・・・でも・・・。」 「でも?」 「はぁ、はふぅ・・・野良は野良で・・すから、人間と違う常識が・・・ああぁ!」 「その辺は理解が必要と・・・まあいいわ。んじゃ、服着たら目玉焼きの試食といきましょ!」 「はぁ・・・ふぁい・・・」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4月○△日 優宇河お姉さん、今日は休みをとって、まりさ達に飼いゆっくりのなんたるかをたたき込むことにした。 ゆうかりんの貸してくれた本は、『ゆっくりの育て方(銀バッジ取得編)』。 何で持ってるんだろう? 今のところまりさたちは、飼いゆっくりである証明の銅バッジをつけているのだが、 (まりさ一家は大喜びだが、)ICチップによる飼いゆ登録が行われるのは、試験を受けて取得する銀バッジからだ。 現状、法的に財産として認められないので、危なくて外にも出せない。 「ということなのよ。目指すは銀バッジよ!」 「「「えい、えい、ゆー!」」」 「ほんじゃ、さっそく一つづつやってみましょっか。」 銀バッジへの道その1 おトイレのしつけ:決まった場所で用を足すよう躾けましょう。 「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」 銀バッジへの道その2 ご飯は好き嫌いなく、キレイに食べるよう躾けましょう。 「ゆっくちりきゃいしたのじぇ!」 銀バッジへの道その3 ご飯は『おあずけ』もできるようにして、主人の言うことを守るよう躾けましょう。 「ゆっくりりかいしたよ!」 銀バッジへの道その4 怪我をしたり物を壊さないように、家の中ではゆっくり過ごすように躾けましょう。 「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」 以上が銀バッジ取得に必要な技能となります。 一般的な野生のゆっくりでは、習得までに2ヶ月から半年ほどかかります。 気長に教育しましょう。 「・・・これだけ?」 「おちびちゃんたちも、みんなゆっくりできるよ!ぎんばっじさんだよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 「・・・これに下手すると半年って、ゆっくりって手がかかるのねぇ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 8月×△日 まりさ達は銀バッジを無事取得したが、夏になっても全然外に出ようとしない。 クーラーの下でお水をグビグビ飲みながら、一日中ゆっくりしている。 それに、おうち宣言したおもちゃ箱の外で眠ったこともない。 表情には一点の曇りもなく、だらけきった下膨れ顔。 それはそれは幸せそうだ。でも、これでいいんだろうか。 『ゆっくりの育て方』ではゆっくりはお散歩も結構好きだと書いてあったんだけども。 そもそもゆっくりは、ゆっくりという名に反し、体が脆い割には活動的なはずだ・・・ 「ねぇ、まりさ達。今日はお外に遊びに行きましょ!お友達もできないわよ。」 顔面蒼白になるまりさ達。 「おねーさん・・・まりさたちのこと、きらいになっちゃったの?」 「へ?」 「おそとはこわいんだぜ・・・みんなしんじゃうんだぜ・・・」 「えーと、そんな事無いんじゃ。」 「やべでぇ・・・おそとにづれでいがないでぇ・・・」 あまりに悲壮感あふれるまりさ達の表情に、何かよほど嫌なことがあったのかと思ったが、 これまでほとんど気に留めなかった、野良ゆっくり達の姿を注意してみると、その反応が合点いった。 細い小道、公園、ビルの影、どこを覗き込んでも、必ず複数存在するゆっくりの干からびた死骸。 商店が打ち水をするたび、誰かが洗車するたびに、水を求めて群がる、100を超える野良ゆっくり達。 小川を橋の上から眺めていると、5分も間隔を空けずに聞こえる、何かが川に飛び込む音。 日当たりの良いマンホールのふたや、車のボンネットの上には、あんよが張り付き黒こげになった焼き饅頭が多数見られた。 今まで、気にせずにいた景色。この中に彼女たちは当事者として存在していたのだ。 「室内飼い確定ね。でも、お友達がいないってのもかわいそうよねぇ・・・。」 優宇河お姉さんは、やはり校長に掛け合って、学校敷地内の合宿所に住まわせてもらえるようにしてもらおう、 そう、決心した。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 9月×△日 季節は秋。秋雨は長引き、今日もどんより空が曇っている。 優宇河先生はあれから無事、校内の合宿所の部屋を新居として格安で借りることに成功していた。 「ああ、そのおもちゃ箱はこっちに置いてね。あの子たちのおうちだから。ありがとう、ゆうかりん。」 「いえ、こちらこそ。同じ屋根の下、これからもよろしくお願いします。」 「んっふっふ、これで今後は毎日ゆうかりんにイタズラし放題ね!」 「ううっ・・・お手柔らかにおねがいします。」 「ところで、優宇河先生。校長先生になんて言ってここに住めるようになったんですか?嫌がってたと思いますけど。」 「ゆうかりんのこと、奥さんに紹介するって言ったら。」 「うえっ・・・ふぇぇ・・・。そんなのひどいですよ。」 「別にいいじゃない!ゆうかりんがお弁当作ってあげてるんだし。まあ、とりあえずウチのまりさ達、よろしくね。」 「ゆゆーん!おねーさん、ただいまだぜ!」 「おかえり。あんなにお外嫌がってた割に、どこに行ってたの?」 「こんぽすとさまにおまいりしてきたのぜ!」 「コンポスト様?ゆうかりん、何それ・・・。」 「にんげんさんもたくさんおまいりにきてるんだよ!とってもえらいかみさまなんだって!」 「あの、ゆうかがコンポストに入れたゲスまりさが、変なこと始めちゃったんですよ。 最近ではゆっくりどころか、低学年のコたちまで・・・、お代はあまあまでいいよって・・・。」 「商魂たくましいわね。あのゲスまりさ。アレはあれで町に適応した結果ってことかしら。」 「まりさ、まりさ、まりさ。ゆうかはゆうかよ。これからはよろしくね。」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆっくりの間では、それで呼び分けてんの?」 「はい。こっちのコがまりさ。こっちがまりさ。このお母さんがまりさです。」 「人間っぽいけど、やっぱりゆっくりなのねぇ・・・。 ああ、そうそう。ゆうかりんに新しい後輩が入ってきたのよ。 ふらんちゃんって言うの。むっつりしてて可愛いのよー。」 「「「ふらんはゆっくりできないぃぃいいい!!!」」」 「そう言えば捕食種だっけ。」 「ゆうかも捕食種ですよ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 12月24日 日は暮れ、今日はクリスマスイブ。 外は一面雪景色だが、人間の部屋の中はとても温かく、まりさ達のはしゃぎまわる声が外まで響いていた。 優宇河お姉さんの部屋でもケーキとごちそうが並ぶ。一緒にいるのがまりさ達だけというのは少々寂しいが。 「ゆーん。ゆうかりんやふらんもこないの?」 「いっしょにあまあまたべたいのぜ。」 「ゆうかりんもふらんちゃんも、忙しくってこれないのよ。 校長のお友達のパーティーに参加だって。まあ、学校の体育館でやってるんだけど。お勤めご苦労様よねー。」 「おねーさんも人間さんのお友達は呼ばないの?」 「・・・まあ、こういう年もあるのよ。まりさ達と過ごしてあげるんだからありがたく思いなさい。 でも、明日はゆうかりん達も呼びましょうね。」 「ゆわーい!あしたもあまあまだね!」 「むーしゃむーしゃするのぜ!ゆっくりいただきます!」 その時、外に赤いリボンが見えたような気がした。 あれは、れいむ?恐らく野良だろう。 今は見えなくなったが、確かに部屋の中を覗き込んでいたように思う。 ウチのまりさ達はやはり幸運なのだろう。 まりさ達がお尻をぷりんぷりんさせながらケーキに顔を突っ込んでいる間も、 野良のゆっくり達は必死で生きているのだから。 「あんたたち、ちょっとは感謝しなさいよ!」 「「「ゆ?」」」 「ゆっくりって薄情ねー。まあいいわ。見返りは求めない主義だから。」 ちなみにその夜、まりさ達は初めて優宇河お姉さんのベッドの枕元で眠った。 少しは野良の頃の苦しみから解放されたのだろうか。 「まあ、ゆっくりいきましょうかね。」 「枕もとに3匹は多いわね。一匹降りなさい。」 「ゆべし・・・いたいけど、すっきりー。」 「そいつも治ってなかったのね・・・。」 あえてヤマ無しオチ無し。本編を待って下さい。 そんないい本編が来るとも限らないけど。 なんだか、家の引っ越しとか、職場の合宿とかが重なって、 これまでの作成ペースは維持できなさそうです。 やむを得ずこんなへんなSSでお茶を濁しましたが、 そろそろ本編も書き始めようかなあ。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順) 春-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. 本作品 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業 夏-2. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 何かほのぼのした たまにはわるくないかも -- 2015-08-12 20 41 31 ゆっくりってゴミ以下だよね、、、 -- 2013-07-25 14 50 33 ゴミがゆっくりのよう? なんかこの話は続いて欲しいな -- 2012-12-15 17 18 41 この後、特務の青二才はゆっくりの破片で「目が〜目がぁ〜」確定 -- 2012-11-27 22 21 25 なんかちょくちょくキャラの濃い人が出るなぁwww -- 2011-04-18 17 54 34 ↓↓ムスカの台詞はそのままが一番良いだよぉ!! -- 2010-12-30 03 00 04 まりさを拾うような奴はしんどけ -- 2010-10-25 17 33 09 「はっはっはっはっ!!!見ろっ!ゆっくりがゴミのようだ!!!」 違う!! 「はっはっはっはっ!!!見ろっ!ゆっくりはゴミだ!!!」 こうです!! でもお話自体は過剰な愛でが無い所為で凄く楽しく読めた こう言う何気ない日常物も中々どうして・・・・まぁ、ありじゃないか、貴様(まりさに向けて) -- 2010-08-01 02 58 00 サブキャラにム○カ様がいたとはw -- 2010-07-31 02 42 07
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「ふたば系ゆっくりいじめ 1044 ある場での密談/コメントログ」 良いぞ!頑張れ鬼意惨!! -- 2010-07-14 00 32 23 ありがとう! ありがとう!! あんたらみたいな鬼井山こそが正義だ!! -- 2010-12-21 02 29 16 保護団体会長が意外と良いキャラしているねw -- 2011-08-24 23 56 13
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「ふたば系ゆっくりいじめ 673 昆布巻き/コメントログ」 面白かった。最初から最後までゆっくりに希望を 与えないお話は大好きです。 -- 2010-07-20 16 27 52 ゆっくりの飾りや帽子って食えるのか? -- 2010-07-26 00 09 19 支援 -- 2010-09-11 17 11 08 ゆっくりの昆布巻きか。良いアイディアだ -- 2010-10-24 17 14 57 随分と甘そうな御節だなw -- 2011-06-11 07 48 15 意外にうまそうダナ -- 2011-10-20 21 17 07 あれ、ゆっくりの歯は飴で髪は飴細工で目は白玉だけど…帽子ってなんだ? ガム? -- 2013-06-18 16 25 19 ゆっくりの帽子って昆布なのか? ていうか甘すぎて食えないや味痰ネいのか? -- 2014-06-14 15 10 52 塩かけて焼きたいなぁ~(僕は小学6年生です) -- 2016-01-26 23 18 05 ↓小学生ってマジですか?(自分は高1です) -- 2016-02-16 23 04 20 stardustrevolution! -- 2016-09-04 15 33 28 ↓×5 確かにお飾りの設定って曖昧だよね(ガムっぽい食感という作者もいた) 水には溶けないけど燃えやすい。食べれる食べれないは作者ごとに違う。不思議~! ※人間に「舐めたら直る」って言われて、思い込みで本当にお飾りが直るって設定もあった。 -- 2018-01-09 15 43 22
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ゆっくりが幻想郷に出始めた頃のお話 幻想郷のとある森の中。その奥深くにはささやかな畑と一つの小屋が。 真昼だが辺りは鳥の鳴き声がするくらいで、人の気配はない。 だが、ちょうど収穫間近のキャベツの影にはなにやらうごめくものが。 「それ」はガサガサとキャベツを揺らし、バリバリと音を立てながら貪っているようだった。 時折、声のようなものも聞こえてくる。 と、そこにカゴを背負った畑の主と思われる青年が森から姿を現した。 人付き合いは皆無で、たまに収穫した作物を街の市場へ売りに行くといった生活を送るこの青年。 今日もはした金と酒や食料などを調達し、住処へと戻ったのだった。 また、畑は小屋の入り口の裏に位置していたため、帰宅した青年が異変に気づくことはなかった。 疲れを癒すように椅子に腰掛け、さっそく買った酒を注ぎチビチビと飲み始める。 至福の時、ふと暇つぶしにと、ついでにもらってきた瓦版を手に取る。 ちなみに今号の一面は「幻想郷で謎の妖怪?が繁殖??」というものだった。 「へえ・・」 読み進めると、その妖怪は大きさが大小様々な饅頭のような生物らしい。 また、ある程度の人語を解し、自らも簡単な受け答えや意思疎通が可能であるという。 記事中では絵も交えて2種類が紹介されていた。 黒髪と紅白の頭飾りが特徴の「ゆっくりれいむ」と 黒いとんがり帽子に金髪が特徴的な「ゆっくりまりさ」 どちらも可愛いような可愛くないようなつかみ所のない人間の生首のような妖怪だ。 実際に絵で見るとますますもって気味が悪い。 どちらも「ゆっくり」が口癖であること、幻想郷の有名人の顔が象られていることなどから 人々の間でその名が付いたという。 「それ」は普段山奥や森などの人里から離れた場所に住み、昨今急速にその数を増やしているらしい。 人間の田畑も食害にあっているという。となっては青年にとって他人事ではいられない。 「まさかな・・・」 ふと不安になった青年。酒を置き、畑の様子を見に小屋を出る。 畑に到着し辺りを見回ると、悪い予感は的中してしまっていた。 「あっ!」 青年は思わず声を上げる。 栽培されていた野菜の内、キャベツの一部は、無残にも食い荒らされていた。 その奥には音を立てながらキャベツに集っている、人間の頭より少し大きい2つの丸い物体。 「・・・ゆっ ゆっ♪」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「・・・こいつらは・・・」 間違いない、記事で見たゆっくりとかいう妖怪だ。 そしてそれぞれ姿の違うその「ゆっくり」はまさに「ゆっくりれいむ」と「ゆっくりまりさ」に他ならない。 「おい!そこの!!」 大声で怒鳴ると、2匹のゆっくりはびくっと体を震わせる。 「ゆゆっ!?」 「ゆっ??」 同時に振り返るゆっくり。何が起こったかわからないといった顔でこちらをぽかーんと見つめる。 だがすぐ我に返ったようで、大きく口を開いた。 「ゆっくりしていってね!!!」 なるほど、だから「ゆっくり」なのか、と無理やり納得する。 記事の絵の通り、どこか人をバカにした間抜け面に力が抜ける。 「ゆっ おじさん、だーれ?」 「ゆっくりしてるの?」 畜生に人の事情はわかるまい。 青年が立ち尽くしていると、ゆっくり2匹が足下まで寄ってくる。 なんだこいつら警戒心もまるで無しか、とすっかり怒る気もなくした青年。 「ここはねー、おじさんの畑なんだよ。畑。」 力なくゆっくりに話しかける。 「はたけ?なにそれ?おいしいの?」 「ここゆっくりできるところだね!」 微妙に人の神経を逆撫でするゆっくり達。そして更に喋り続ける。 「おなかいっぱい!!」 「ゆっくりー!ゆっくりー!」 「あのねえ、おじさんはね、ここで野菜を作ってるんだよ。 勝手に人のものを食べちゃダメじゃないか」 怒りを抑え、人語を解すのだから説得もできるはずだ、とゆっくりを論す。 「ゆ~? だめ?」 「ゆっくりたべたい~」 だめだこりゃ、と青年はため息をつく。 と、その時脇の草むらからガサガサともう1匹のゆっくりらしきものが姿を現した。 「む、むきゅぅ~ ぜぇ~ぜぇ~」 かわいらしい?帽子をかぶったそのゆっくりらしきものはは、ズルズルと体を引きずりながら 息も絶え絶えで青白くなっていた。 「ぱちゅりー!!」 「ゆっくりおそいよ!」 「む、むきゅぅぅ・・・ むきゅっ??」 会話から察するに、これも2匹の仲間で、ゆっくりの一種らしかった。 ぱちゅりーと呼ばれたそのゆっくりは青年に気づいたのか、一瞬戸惑いを見せた。 「ぱちぇもおじさんといっしょにゆっくりしよう!」 こちらの気も知らずに、と青年は歯をかみしめた。 「ゆっくりー!」「ゆっくりー!!」「むきゅ~」 こうして目の前のゆっくりが3匹になってしまった。 力尽くで追い出そうとも考えたが、初めて目にする得体の知れない相手だけに うかつに手を出すのは得策ではないと青年は考えていた。 「ゆぅっ!おじさんはゆっくりでていってね!」 突然ゆっくりまりさが体当たりを仕掛けてきた。 思わず青年は驚きのけぞったが、と同時にこの饅頭の非力さにも驚いた。 妖怪と聞いて若干は警戒していたが、その必要もなさそうだ。 足下で必死にボテンボテンと体当たりをするゆっくりを見下ろし、安堵する。 「ゆっ?まりさのおぼーし!ゆっくりかえしてね!!」 しつこいのでまりさの帽子をむんずと掴み取る青年。 不測の事態に体当たりを止め、届かない帽子にジャンプを繰り返すまりさ。 「なあ、お前たち。ここは人間が野菜を育ててる場所なんだよ。 それを勝手に食べちゃダメだ。わかったら出て行ってくれないか? 出て行ったら帽子を返してあげるぞ」 これ以上相手にするとキリがないので、何とかゆっくりに譲歩してもらう他はない。 「ずるいよおじさん!はえてきたおやさいひとりじめして!!」 「ゆっくりはやくまりさにおぼうしかえしてね!!」 「むきゅ!そーよ!ごほっごほっ」 「駄目だこいつら・・・」 何度話しても時間の無駄だと実感した青年。 話して駄目なら実力行使しか手はない。 ふと近くにあった棒きれを振りかざし、地面に叩きつける。 「「「ゆっ!!?」」」 「ほらっ!!いい加減にしないと痛い目見るぞ!!」 同時に持っていたまりさの帽子を森の茂みに勢いよく投げ捨てた。 「ゆっ!まりさのおぼーし!!」 「ま、まりさ ゆっくり待ってね!!」 帽子を追いかけ茂みに消えるまりさ、後を追いれいむとぱちゅりーも奥へと消えていった。 「ふう・・・」 ゆっくりは追い払った、しかしまた来るかもしれないという懸念は青年の中に当然あったが とりあえず被害にあった野菜の世話に戻る。 食い散らかされたキャベツと、青年は知る由もないがゆっくりの残していった排泄物を片付け 青年は小屋へと戻った。椅子に腰掛け飲みかけの酒を口にし、一息つく。 「そろーり、そろーり」 ぴくりと聞こえたその声。動きを止め耳を傾けると、間違いなくさっきのゆっくりの声。 裏の窓からそっと様子を見ると、性懲りもなく再びあの三匹が畑へと侵入していたのだった。 「あいつら・・!ったく・・・」 やはりというか再び現れたゆっくりにウンザリしながら畑へ向かった青年。 「おい!お前ら!」 「ゆっ? またきたよまりさ!」 「おじさんしつこいよ!」 「むきゅっ!ここはわたしたちのゆっくりぷれいすよ!」 「はぁ・・・(何を訳のわからないことを・・・ それにしつこいのはお前たちだろうに)」 しつこさに業を煮やした青年ではあったが、相手が人語を喋る得体の知れない生物ということで 対処を決めかねていた。 さっきのゆっくりの攻撃は青年にとってまったく取るに足らないものだった。 よって、おそらくこちらが手傷を負うことはないだろう、という読みはある。 とはいえ人間の頭の形で、人間の言葉を喋る生物をどう駆除すればいいか。 青年の中には当然の迷いがあった。 「ゆっ!まりさ、ちゃんすだよ!」 「おじさん、あしもとがおるすだよ!」 隙を突いたつもりなのか、ボヨンボヨンとまた青年の脚に体当たりを繰り返すまりさ。 同じことを繰り返す学習しないこの生物に、青年の迷いも少し晴れた。 「(そういえばこいつら饅頭なんだよな、ならちょっとくらい痛い目見せてやっても・・・)」 「ゆぼっ!!?」 効かない体当たりを繰り返すまりさに正面から蹴りを食らわせた。 まりさは茂みの側まで吹っ飛び、青年の脚には何とも言い難い、柔らかくやや重い感触が残る。 「(あっ やりすぎたか?)」 吹っ飛ばされたまりさは動かない。他二匹もいきなりの反撃に驚いたのか、呆然としている。 「・・・ゆっ? ・・・まっまりざあああああ!!!」 「むぎゅううう!!」 慌ててまりさの元へ向かう他二匹。まりさはよろよろとこちらへ向き直る。 「ゆ゛っ・・? どぼじで・・・なにがおきたの・・?」 「まりざあああじっがりじでえええ!!」 「ゆ゛っ・・・これくらい・・だいじょうぶ・・だよ・・・」 力の差を見せつけたはずだが、まだわからないのだろうか。 そもそも何をされたかもわからない様子だった。 頬の辺りの皮が破け、黒いものが覗いている。 裂けた皮の辺りを舌で仕切りに舐めるれいむを静止し、再び青年へと向かうまりさ。 先ほどは跳ねていたが、ダメージが大きいのかズリズリと地面を這うように。 「(まだ懲りてないのか・・・ あのはみ出てるのは・・・饅頭だから餡子なのか?)」 「ごごはまりざだぢのゆっぐりぶれいずなんだよ・・・ じゃまじないでね・・・」 自分勝手なことを呟きながらこちらに這いずるまりさの姿に、 青年の中で言いしれぬ嫌悪感と怒りがこみ上げてきた。 相手は動物でも妖怪でもない。饅頭だ、食べ物だ。 そう言い聞かせ、さっきの棒きれを手に取り、思い切りまりさに振り下ろす。 「このっ!!このっ!!」 「ゆ゙っ!!ゆ゙っ!!ゆ゙ばっ!!ぶっ!!や゙っ!!べでっ!!ばっ!!」 「や゙っや゙べでえ゙え゙え゙え゙え゙!!!ばり゙ざがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」 「むぎゅうううううううううううううう!!!」 何度も何度も叩きつけられ、まりさはやがて声も発しなくなった。 帽子がひしゃげ、口や傷口から餡子を漏らしたズタボロの饅頭がそこにあった。 「ば・・・ば、りざ・・・あ゙あ゙あ゙・・・」 「・・・」 ぱちゅりーはすでに気を失っているようであった。 れいむも目から涙を流し、嗚咽を漏らしている。 「人の畑で好き勝手したからだ、悪く思うな」 青年は失神しているぱちゅりーを掴み、底部に両手の指を食い込ませ 思い切り両側へと引っ張った。 「む゙ぎっ!!!!」 短い叫びと共に、真っ二つに裂けた皮から中身がボタボタと流れ出る。 数秒で手には皮だけが残り、地面にはクリーム状の中身と目玉が残された。 一匹残ったれいむは全身から汗のようなものを流し、ただブルブルと震えている。 「ゆ゙・・ぁぁ・・・だ、だずげで・・・ おねがいじまずぅぅ・・・」 「・・・どうせまた来るんだろ?」 「ま、まっで・・・!!」 青年は情けを捨て、棒を思い切り頭に突き刺す。 「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!」 目を見開き身体を震わせるその様に、不気味なものを感じた青年は れいむを突き刺したまま棒を思い切り振り、森へとぶん投げた。 「はー・・・何か胸糞悪いな・・・ また同じようなのが来なきゃいいが」 ゆっくり駆除の後片付けをしながら、青年は今後が心配でならなかった。 そして同じ頃、幻想郷の各所では増殖したゆっくりが様々な問題を引き起こすのであった。 おしまい 実は半年位前の書きかけです。今ごろ気付いて中途半端に完成させUPしました。 やっつけですいません。ネタも平凡ですいません。 書きかけのネタは他にもあるんですが、飽きっぽいので今後は未定です。。。 過去に書いたSS ゆっくりいじめ系28 ゆっくり加工所でのある実験 ゆっくりいじめ系724 ゆっくり整形 ゆっくり加工場系16 小規模加工所でのゆっくり処理 ゆっくり加工場系20 小規模加工所